Excelのデータが壊れてしまう理由は主に2つあります。1つはExcelやパソコンの不具合によってデータの消失や不具合が発生するケースです。稀ではあるものの、データが修復できない可能性もあるため、Excelファイルに限らず重要なデータは別のハードディスクやサーバなどにバックアップしておくことをおすすめします。
もう1つは、Excelファイルを複数人で共有して使用しているとき、人為的なミスによってデータを壊してしまうことが考えられます。データを壊すといっても、Excelファイルを開けなくなるようなものではなく、入力されていた関数や計算式を誤って消してしまった、セルのコピーや貼り付けなどを行って計算式を狂わせてしまった、というものです。
作業者がこれらのミスによる不具合に気づかずにデータを上書き保存してしまうと、計算式が壊れたファイルをそのまま使用することになってしまいます。このような事態を防ぐには、ファイルを共有するときにデータを保護しておくことが重要です。
Excelでは、シート全体に保護をかけることができます。紙のノートに例えると、ページの表面を透明なカバーで覆うようなイメージです。保護されたExcelのシートは文字を入力することはもちろん、データの移動や削除などができなくなり、作業できる範囲が制限されます。
シート全体を保護するには、まず保護したいシートを選択し、「校閲」タブの「シートの保護」をクリックします。「シートとロックされたセルの内容を保護する」にチェックマークを入れて、「OK」をクリックすれば、シートの保護ができます。
「シートの保護」の設定ウィンドウでは、シートを保護した後で一部の操作を許可することもできます。たとえば、セルの範囲選択や書式設定などを許可したいときは、チェックを入れておきましょう。また、パスワードを設定することもでき、パスワードを知る人だけで保護を解除して、作業してもらうといった使い方もできます。
シート全体ではなく、一部のセルだけに保護をかけることも可能です。たとえば、見積書などを作成するExcelファイルで、合計やデータの抽出など、関数や計算式が入っている部分だけ保護をかけ、コードや商品名、金額などのセルは自由に入力できるようにしておけば、誤って関数や計算式を消されてしまうリスクが減ります。
一部のセルを保護するには、まず、保護しない(自由に入力できる)セルを選択し、右クリックで「セルの書式設定」を選択します。「保護」タブをクリックすると、「ロック」という項目にチェックマークが入っていますので、チェックを外します。そして前述した方法でシート全体の保護を行うと、このセルだけは編集ができる状態になります。
保護しないセルがほかにもある場合は、同様の操作を繰り返します。保護しないセルが広範囲の場合は、セルを複数選択してから一度に書式設定をかけるほうが効率的です。最後に、「シートの保護」をかければ完了です。
Excelを複数人で使用する可能性がある場合、大事なデータにはしっかり保護をかけて、作業しても構わない範囲のみ編集できるようにしておくことが大切です。また、もしものことを考えて、データのバックアップもしっかり取っておくようにしましょう。